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トリニータの戦術を研究③

こんにちは。今日はトリニータの戦術を研究③を書いていきます。

 

⑤得点源の2シャドーワントップ。

昨シーズンのトリニータは、藤本選手、馬場選手、三平選手、後藤選手の4選手が二桁得点を挙げるなど、トリニータは昨シーズンJ2の中で最多得点チームになりました。その理由として前回研究②で、トリニータの武器であるサイド攻撃だと述べました。サイドでクロスを上げる時に2シャドーワントップの3枚が、ゴール前にいることが多いです。また、相手の前線からのハイプレッシャーを逆手に取り、DFラインの裏にボールを送りまるでカウンターのようにいくつものゴールを決めました。

そしてDF.MF.WBからこの3枚(2シャドーワントップ)に縦パス、斜めのパスが入った時は攻撃のスイッチになり一気に攻撃のギアが上がります。5レーン理論から言って前線の3枚は一つずつ横のレーンにいることが多く、距離感がとても良いです。この3枚の選手に縦パスが入るときも距離感がとても良いのでこの3枚の連携で崩すことができます。例えばWBから斜めにグランダーの早いパスが通った時、シャドーの選手がスルーをしてそのまま裏に走り込み、ワントップの選手が裏にボールを送り込みます。f:id:trinitaoita:20190406092934p:imagef:id:trinitaoita:20190406092938p:image

ポイントとしてこの斜めのパスがワントップとシャドーの両方の選手が反応できるような斜めのパスを送ることそしてワントップ、シャドーの選手はどちらも反応できるような適切なポジションを取っておく必要があります。このように綺麗に崩したり、ワントップの選手にパスが入った時2シャドーの選手が近くに寄り密集を作り、押し込んで無理やりゴールをこじ開けたりします。さらにはこの3枚に縦パスが入ることによってDFの集中は中に向けられます。そこでもう一度フリーになったWBにパスを送りクロスからのシュートでゴールをゲットします。とにかく前線の3枚にパスが入った時はチーム全体として攻撃のギアが上がるイメージがあります。

そしてそこからの攻撃の仕方、パターンは豊富です。前線の3枚の連携も良いためたくさんの攻撃パターンがあります。ワントップ2シャドーの選手にパスを送るまでのビルドアップの構築の仕方、(研究①.②)パスが送られてからの仕留め方、攻撃の終わり方この一連の動きが綺麗にまとまっているのでここまでの得点力を発揮できたのだと思います。必ず前線の3枚はフィニッシュの場面に絡んできます。しかも適切な位置、距離関係で(5レーン理論)。これらの理由が、トリニータの爆発的な得点力を生んだと私は考えています。

 

⑥守備、カウンター

トリニータの守備について説明できるところまで説明しようと思います。昨シーズントリニータはボールを奪われた瞬間(ネガティブトランジション)のとき、ボールを取り返しに行く守備というよりはゴールを守る、カウンターを防ぐというのを最優先にしていました。全選手が自陣に帰るということです。もちろんコーナー付近などで押し込んでいてボールを奪われた時は、ボールを取り返す守備を見せています。しかし基本的にはボールを奪われたら、自陣に戻り一度ブロックを形成します。そこからの守備ですが3-4-2-1の時は守備時5-4-1に変化します。WBが最終ラインに組み込まれ2シャドーがボランチ横のスペースを消す形で降りてきます。f:id:trinitaoita:20190406100604p:image

またトリニータは5-3-2(3-5-2)を使う試合もあるのですが、その時は5-3-2で守ります。相手にもよりますが、相手のビルドアップも前線からチェックするというよりは、ゴールを守るために全員がボールより下がり、ブロックを敷きます。まとめてみます。

 

守備時(5-4-1に変化) 基本はゾーンディフェンス

ネガティブトランジション

・相手のカウンターを防ぐ

・自陣に戻る

・相手の自陣深くでボールを奪われたら、素早くプレス開始

相手のビルドアップ

・まずはゴールを守る。

・パスコースを制限して外で回させる

・ブロックを作り自分たちの外でボールを回させる

押し込まれた時

・押し込まれた時も同様にゾーンディフェンスで5-4のブロックを作り我慢強く守備

ボールを奪ったら

・まずはカウンターを狙う

・ダメなら遅攻に切り替える

 

自分の中ではこのようにまとめることができました。ブロックを敷き、スペースを消した守備をしますので、創造性に欠けるチームは少し攻略が難しくなります。しかし守備強度、スライド、コンパクトは高い方ではないのでそこは一つトリニータの課題と言えます。それでも対札幌戦で、5-4-1のブロックを敷き1失点で抑え勝利しました。守備時は全員がハードワークします。

しかし今シーズンのトリニータの守備は前年と比べると、より積極的なものになっていると感じます。ボールを奪いに行く、ロングボールを蹴らせる守備が多くなっているように思います。今シーズンの開幕3試合は諸事情でまだ見れてないのですが対マリノス戦(5-3-2)、対広島戦は積極的にチームとしてボールを奪いに行くシーンがありました。ピッチを3分割にしたときの自分たちのアタッキングゾーン(相手のディフェンシブゾーン)でも強度の高いプレスをかけました。さらにミドルゾーンでも純粋なゾーンディフェンスというより、ゾーンの中でのマンマークを意識していました。トリニータのCBも降りて行くFWをボランチに渡すというより付いて行くような守備でした。相手により圧力を与えていました。ブロックを敷くよりも前からプレスをかけ自由を奪う方が良いと考えたのではないでしょうか。逆に先日の札幌戦では5-4-1のブロックを敷き札幌の攻撃を一点で抑えました。守備もチームによって使い分けていることがわかります。

次にトリニータがボールを奪ったときについてです。トリニータがボールを奪ったらまずはカウンターを目指します。実はトリニータはカウンターも得意としています。ボールを奪ったらまずはゴールを目指し、チャンスとみればカウンターを仕掛けゴール前で数的優位を作ります。横浜戦の先制点はミドルゾーンでボールを奪い、一気にショートカウンターで仕留めています。その場面もゴール前で数的優位を作れています。もしカウンターができないと判断したら遅攻に切り替え、攻撃を再構築します。

守備は相手チームによって使い分け、ボールを奪取した後は点を取る確率の高いカウンターをまずは狙います。守備もどちらかと言えばブロックを敷く方、ゴールを守ることに重点を置いていて、ハイラインでプレスをかけ、裏を取られるというリスクを減らして、ゴール前のスペースを消しています。

J1に挑戦して今のところは複数得点をあげていますし、複数失点はしていません。しかし2点以上あげた試合はありません。だからこそより守備力が重要になってきます。もし試合中により一対一の場面が増え、個人の力に依存する傾向が強くなる守備になればJ1の強力な選手にやられてしまうかもしれません。これからトリニータの守備がどのように個の強い選手、チームに対応するか楽しみです。

次が最後かもしれません。続きます。

 

研究①

https://trinitaoita.hatenablog.com/entry/2019/04/02/154746

研究②

https://trinitaoita.hatenablog.com/entry/2019/04/04/172553